賃貸不動産経営管理士ってなに?

賃貸不動産経営管理士の仕事

近年、不動産業界で急速に注目度を高めている国家資格【賃貸不動産経営管理士】。「名前は聞いたことあるけど具体的にどんな仕事をするの?」「宅建と何が違うの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

賃貸不動産経営管理士は、賃貸物件管理に関する知識・技能・倫理観を持った専門家として賃貸不動産の管理を適切に行い、賃貸不動産に居住し利用する賃借人等の安全や安心を確保し、また賃貸不動産所有者の資産を有効活用するといった重要な役割を担っています。

賃貸物件の入居審査から退去更新までの長期間にわたる業務を専門としており、入居者が安心して生活する手助けに加え賃貸物件のオーナーが資産を有効活用できるようにサポートするなど、つまり賃貸不動産経営管理士の業務は、不動産の資産価値を最大化する「経営コンサルティング」に近い性質を持っていると言えます。

賃貸住宅管理業を営む場合、事業所ごとに1人以上の「業務管理者」を設置する義務があり、この業務管理者=賃貸不動産経営管理士となります(現在は賃貸住宅管理業の指定講習を修了した宅建士も業務管理者として登録可能ですが、これはあくまで暫定的措置であり、将来的には賃貸不動産経営管理士に一本化される可能性が高いと言われています)。

宅建士との違いは?賃貸不動産経営管理士の業務

賃貸不動産経営管理士試験の概要

令和8年度賃貸不動産経営管理士試験の概要が発表されました。

試験日時令和8年11月15日(日)13:00~15:00
受験料12,000円
出題形式四肢択一の50問
受験要件日本国内に居住する方であれば、年齢、性別、学歴等に制約はなく、不動産業に従事している必要もありません。
願書申込令和8年8月3日~9月24日(願書請求は9/14 PM12:00まで)
受験票令和8年11月上旬に郵送
合格発表令和8年12月24日(木)

試験当日は受験票を持参の上、12時30分までに所定の試験室の指定番号席に着席してください。受験票が無い場合は受験ができません。電子機器(携帯電話、スマートフォン、腕時計型情報端末、スマートウォッチ、パソコン、タブレットなど)は試験開始前に電源を切って封入袋に入れ、ご自身の座席の下に置いてください。携帯電話を時計代わりに使用する事もできません。同封入袋に封入されていない通信機器類の存在が判明した場合は不正行為とみなされ、直ちに退出、試験は無効とされます。

合格発表は一般社団法人賃貸不動産経営管理士協議会のホームページで合格者の受験番号を掲示し、併せて、合格者には合格通知書が送付されます。

今はその気が無くても宅建試験終了後、勢いそのままもう一つ取得したくなるのが賃貸不動産経営管理士です。宅建試験が思うように解けなかったとき、リベンジで取得したくなるのが賃貸不動産経営管理士です。

やっぱり願書を出しておけば良かった~!とならないよう、8月になったら申込みを済ませてしまいましょう。

合格点と合格率

受験者数合格点合格率
平成25年3,946人28点85.8%
平成26年4,188人21点76.9%
平成27年4,908人25点54.6%
平成28年13,149人28点55.9%
平成29年16,624人27点48.3%
平成30年18,488人29点50.7%
令和元年23,605人29点36.8%
令和2年27,388人34点29.8%
令和3年32,459人40点31.5%
令和4年31,687人34点27.7%
令和5年28,299人36点28.2%
令和6年30,194人35点24.1%
令和7年31,792人38点29.5%

(平成25年~令和元年までの出題数は40問です)

令和7年度試験の受験者数は31,792人、合格者数は9,370人、合格率は29.5%、合格判定基準は50問中38問以上正解となりました。

平成28年に賃貸住宅管理業者登録制度の改正により賃貸不動産経営管理士の重要性が増したことで受験者が激増し、更に令和3年に賃貸不動産経営管理士試験=業務管理者の登録試験として国家資格となったことでまた受験者が増加しています。賃貸住宅管理業の需要の増加により、今後も30,000人前後を維持しつつ更なる受験者数の増加が考えられます。

合格点は宅建試験等と同じく「〇〇点で合格」とは定められておらず、難易度が高ければ合格点は下がり、難易度が低かったり受験者のレベルが高ければ合格点は上がる相対評価となります。国家資格1年目となった令和3年の合格ライン40点は異例と言えますが、安心して合格を勝ち取るには40点を目指す勉強が必要になってくるでしょう(令和7年試験も38点で高水準となりました)。

合格率は低下傾向で、国家資格となったことで難化傾向も続くはずです。将来的には20%前後で落ち着く可能性もあるため、1年でも早く、少しでも取得しやすいうちに合格を勝ち取ってください。

令和3年から出題形式も賃貸住宅管理業法を重視した問題構成に固まってきた感がありますが、問題文の表現や切り口を過去の本試験問題から言い回しを変えて難度を高め、ひっかけへの対応力を問う問題が増加しています。

単純な条文知識だけでなく、問題対応力の強化を想定して今後の対策を立てる必要があり、重要知識のインプット+多くの過去問に目を通し、様々な言い回しへの柔軟性の有無が合否の決め手となってきています

他の不動産資格との比較

受験者数合格点合格率
宅建245,462人33点18.7%
マン管10,984人42点11.0%
管業14,435人36点19.6%
賃管31,792人38点29.5%

令和7年の例です。やはり宅建試験が圧倒的人気となっていますが、賃貸不動産経営管理士試験が宅建に次ぐ人気資格となっています。そして宅建士、マンション管理士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士を合わせて『不動産四冠資格』とも言われています。

合格率が示す通り、現在の難易度はマンション管理士>宅建士≧管理業務主任者>賃貸不動産経営管理士となっています。

・宅建  = 不動産取引の専門家(独立も就職も○)
・マン管 = マンション管理のアドバイザー(独立向け)
・管業  = マンション管理会社の従業者(就職向け)
・賃管  = 賃貸住宅管理の専門家(独立も就職も○)

宅建士と賃貸不動産経営管理士のダブル取得で、貸主と借主の両方をサポートする業務が可能になるという点は魅力的ですね。就職活動においても起業をするにしても大きな武器となるでしょう。

マンション管理士と管理業務主任者は「分譲マンション」を業務対象にしており、分譲マンション購入者で構成される管理組合側に立って助言やコンサルティングを行うことが主な業務となりますので、賃貸不動産経営管理士とは似ているようで少し毛色が異なります(もちろんダブル取得・トリプル取得で仕事の幅は広がります)。

不動産業界では、買主や入居者の募集からその後の管理まで同時に対応できるようになるため、複数ライセンスの取得は非常に高く評価されます。

宅建・マンション管理士・管理業務主任者・賃貸不動産経営管理士を徹底比較!

賃貸不動産経営管理士資格を併せ持つ3つのメリット

不動産業界でのキャリアアップ:国家資格化されたことで資格手当を支給する企業が増え、また社内での昇進や転職活動においても強力な武器となります
法的義務による高い需要:管理戸数200戸以上の営業所には必須の資格であるため賃貸管理会社からの求人が絶えず、市場価値が非常に高い状態が続いています
オーナーからの信頼獲得:大切な資産を預ける大家さんにとって国家資格を持つプロに管理を任せられる安心感は絶大で、競合他社との差別化に直結します

同時受験の相性

宅建マン管管業賃管
宅建
マン管
管業
賃管

同じ年に、その試験の知識を持って一気に受験することでダブル合格以上を狙える相性です。同じ不動産関連資格なので「どれも相性は良い」と言えますが、特にはかなり試験内容が重複していて同時受験がおすすめとなります。

賃貸不動産経営管理士試験合格までに必要な勉強時間は「賃貸不動産経営管理士試験から入る」という方は少ないと思いますので「宅建やマン管・管業の知識があること」「法律の勉強の要領を掴んでいること」を前提とすると、宅建試験終了後の1ヶ月の勉強でも十分に間に合うと言えます。

賃貸不動産経営管理士試験だけの単独受験であれば・・1日でも早く勉強を始めてコツコツと全体像を掴み、1日10分でも良いので勉強を習慣化してください。そしてその知識の貯金をもって夏頃から少しずつペースを上げていけばきっと合格を掴めるはずです。

宅建+賃貸不動産経営管理士=まずは全力で宅建合格だけを目指してください。宅建合格知識や宅建の勉強を通して掴んだ勉強法のコツにより、宅建試験終了後の勉強開始で十分に間に合います。これでダブル合格も可能です!

マン管・管業+賃貸不動産経営管理士=マンション管理士・管理業務主任者7割、賃貸不動産経営管理士3割で勉強を進め、最初の試験である賃管本番直前の1ヶ月は割合を逆転しましょう。これでトリプル合格も可能です!

本試験問題の出題傾向

STEP
令和6年賃貸不動産経営管理士試験 問1

賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律(以下、各問において「賃貸住宅管理業法」という。)に基づき賃貸住宅管理業者が管理受託契約締結前に行う重要事項の説明(以下、各問において「管理受託契約重要事項説明」という。)に関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 賃貸人から委託を受けようとする賃貸住宅管理業者は、業務管理者を2年以上経験した別の賃貸住宅管理業者の従業員に委託して、管理受託契約重要事項説明をさせることはできない。
2 賃貸住宅管理業者は、相手方が独立行政法人都市再生機構である場合でも、管理受託契約重要事項説明をしなければならない。
3 業務管理者の管理及び監督の下で行う場合であっても、業務管理者ではない従業員が管理受託契約重要事項説明をすることはできない。
4 賃貸住宅管理業者は、自らの子会社の従業員に、親会社である自社が行う管理受託契約重要事項説明をさせることができる。

STEP
令和4年賃貸不動産経営管理士試験 問46

賃貸不動産経営管理士に求められるコンプライアンスに関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 日頃から人権問題に関心を持ち、人権意識を醸成して自らの専門性を発揮するとともに、貸主に対しては差別が許されないことを十分に理解してもらい、自社の他の従業員に対して積極的に指導を行うなどして、賃貸住宅管理業界全体の社会的役割の実現と人権意識の向上に努めるべきである。
2 賃貸不動産経営管理士は、関係する法令やルールを遵守することはもとより、賃貸住宅管理業に対する社会的信用を傷つけるような行為や社会通念上好ましくない行為をしてはならないが、情報化社会の進展を背景として、自らの能力や知識を超える業務を引き受けることも認められる。
3 管理業者が、貸主からの委託を受けて行う管理業務は法律的には代理業務にあたることから、管理業者はもとより賃貸不動産経営管理士も当事者間で利益が相反するおそれに留意する必要がある。
4 所属する管理業者から、賃貸不動産経営管理士としてのコンプライアンスに基づけば選択するべきではない管理業務の手法を要請された場合、その非を正確な法令知識等に基づいて指摘するなど、高度の倫理観に基づき業務を行うべきである。

STEP
令和2年賃貸不動産経営管理士試験 問39

室内に発生した漏水に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

1 給水管の保温不足による結露は、漏水の原因とはならない。
2 マンションなどでは、上の階が漏水の発生源であることが多いが、漏水が給水管からの場合、上階の部屋の給水を止めて発生箇所を特定することが必要となる。
3 配管からの漏水の場合、床下やスラブの埋設配管、壁の内側に隠れた配管等からの漏水の有無を調査するために一部の壁等を壊す必要があるときは、入居者への影響は避けられない。
4 漏水している水が雨水なのか、給水や排水管からの漏水かを特定することは、原因調査において重要なことである。

STEP
令和3年賃貸不動産経営管理士試験 問10

原状回復ガイドラインに関する次の記述のうち、適切なものはどれか。

1 壁クロスの毀損箇所が一部分であっても、他の面と色や模様を合わせないと商品価値が維持できない場合には、居室全体の張り替え費用は借主負担となる。
2 フローリングの毀損箇所が一箇所のときは、居室全体の張り替え費用を借主の負担とすることはできない。
3 畳の毀損箇所が1枚であっても、色合わせを行う場合は、居室全体の畳交換費用が借主負担となる。
4 鍵の紛失に伴う鍵交換費用は、紛失した鍵の本数に応じた按分割合による額又は経過年数を考慮した額のいずれか低い額による。

賃貸不動産経営管理士試験の過去問をいくつか見てみましたが、まず重要となるのはSTEP1賃貸住宅管理業法ですね。宅建試験で言うところの宅建業法で、賃貸不動産経営管理士試験で最も多くの出題があります。内容も宅建業法と似た規定が多く、宅建試験の経験者であれば比較的スムーズに覚えられるはずです。

そして当然STEP2のように賃貸不動産経営管理士に関する問題も出題されます。ここも覚えやすく、コンプラ関連を含め、賃貸不動産経営管理士の業務については常識判断でも正誤判断がつきやすいところです。

残りの大半はSTEP34の通り単純知識となります。宅建試験で言うところの法令制限、税その他を延々と覚えていく感じです。常識的に判断できる問題もありますが、多くは「単に知っているか勝負」となります。知っていれば簡単ですが文脈からの正誤判断が難しく、知らないと手も足も出ない問題となります。

多くの受験生は重要な賃貸住宅管理業法等に力を入れてくると思います。後は単純暗記による正確な知識量勝負となりますので、覚えては忘れ覚えては忘れを繰り返し、コツコツと合格知識を積み上げていってください。

5問免除

宅建等と同じく、賃貸不動産経営管理士試験にも5問免除が存在します。受講料18,150円+テキスト代4,400円=22,250円が必要となりますが、どなたでも受講することができ、(事前の自習+)スクーリングでの1日の講習により本試験において5点がプレゼントされます。

実施日程:令和8年7月15日(水)~9月25日(金)
講習時間:9:00~17:30(8:50受付開始)

申込みの流れは実施団体により異なりますので、詳細は下記のリンクよりご確認ください。

これまでの5問免除による合格率のアップは12.3%のようです。2万円以上を使って12%ほど・・合格可能性は1%でも上げておくに越したことはありませんが、決して難しくはない分野の5点を2万円で確実に確保するかしっかり勉強して自力で確実に得点するか、冷静に見極めてください。


以上、「賃貸不動産経営管理士」(賃貸不動産経営管理士試験)についてお伝えしました。

高齢化社会、空き家問題、単身世帯や外国人居住者の増加、サブリースを巡るトラブルなど、賃貸市場を取り巻く環境が複雑化する中、この資格の重要性は日に日に増していくでしょう。不動産業界でのステップアップを目指す方は、是非取得を検討してみてください。

管理業務を管理会社へ委託するオーナーが増え、賃貸不動産経営管理士の活躍の場がすごく広がっています。繰り返しとなりますが、合格率が20%前後となる前に(1000~2500円で)賃貸不動産経営管理士資格を取得してしまいましょう!

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